「テニスと戦略」:一目で分かる戦略・戦術・プレイ・技術の関係性

戦略なきテニス、では勝てない

技術はそれなりについてきた。ラリーもそれなりに繋げられるし、サーブも以前と比べて入るようになった。でも試合になると勝てない。スクールや練習での「うまさ」と決定的に違う何か、試合特有の「うまさ」というものがある。このギャップを埋めずに、試合でなかなか良い結果を出すのは難しいのではないだろうか?。そのギャップとはズバリ、ポイントを取るための戦略、そしてそれを実行するための戦術を持っているかどうか、そこにかかっている。


初心者最大のハードル = ポイントの取り方がわからない

テニスというスポーツは4ポイントを2ポイント差をつけて先取、もしくは差がつかなった場合は先に2ポイントの差をつけたほうがゲームを総取りし、それをある決められたゲーム数のセットを1つ、または複数奪取すれば勝ちというスポーツである。なのでショットのフォームやサーブの速度を競うスポーツではない(双方ともとても大切な基礎や戦術ではあるが)。テニスのルールブックには「フォームが綺麗な方が勝ち」とか、「サーブが早いほうが勝ち」とは書いていないのである。ところが自分のような試合特化型ではない、比較的カジュアルなスクールのテニスレッスンではストロークのフォームや、サービスの打ち方など技術面にフォーカスしがちだ。一方で試合に勝つための最も重要な要素、「ポイントの取り方」はあまり考慮されていない。中心課題になっていないと言ったほうが妥当か。スクールの生徒全員が試合志向ではないので、ある程度仕方ないが、ポイントを相手より多く取る方法、そしてその裏にある考え方や大枠の戦略などはあまり語られないのが現状だと思う。ポイントの取り方を知らないと、いかに良いフォームでストロークが打てたところで、、試合に勝利するのは難しい。


戦略、戦術、プレイ、と技術の関係性

戦略 (Strategy), 戦術 (Tactics), プレイ (Patterns), 技術 (Skills) の定義というのは様々なコンテクストの中で用いられるため、戦略と戦術が同義であったり、戦術とプレイと技術が入り乱れたりするので、このブログでの定義と関係性を以下の図に示す。




戦略とは全体の根幹をなす考え方で、、様々な判断の軸となるコンセプトだ。シンプルで、わかりやすいものがいいと思うので、ここで定義してしまうと
「テニスの基本的な戦略とは、相手になるべくリスクを取らせ、自分の強みを最大化し、弱みを最小化すること」。
これくらいざっくりで良いのだと思う。ここから繋がる戦術はこの戦略が提供する方向性に対してどのような方法論があるのかを検討したもので、複数存在する。


戦術とは方法論であり、戦略を実現するために必要なステップを指す。戦略に対する回答になっていることが望ましい。例えば、「エラーを減らす」という戦術を取るならば、それは「弱みを最小化する」と「相手になるべくリスクを取らせる」という戦略上のゴールに対する一つの回答である。他には「相手の時間を奪う」など、どのようにしたら、戦略を実現できるか、を考える。戦術を実現するために用いるのがプレイで、具体的な動きや考え方である。4つほどレベルがあると自分は考えているが、それはまた別の機会に。


プレイとは1つの戦術を達成するための具体的な施策である。例えば「相手の時間を奪う」という戦術に対しての具体的な施策としては、「ラリーの中でチャンスを待ち、相手の弱いサイドに低いスライスでアプローチをし、ネットに出る。浮いてきたリターンをボレーで逆サイドに決める」というポイントメイクのことである。この例は一連の動きを示していて、具体的にポイントが取れるプランである。同じ戦術に対して複数のプレイメイクやパターンはあるが、その選択肢を決めるのが技術である。


技術とはプレイを行う上でどのプランを用いるのかを限定する要因である。一連のポイントメイクの中の各アクションに対して要求される技術の練度によって、実際に適用した場合のリスクが変化する。つまり、前述のプレイの「ラリーの中でチャンスを待ち、相手の弱いサイドに低いスライスでアプローチをし、ネットに出る。浮いてきたリターンをボレーで逆サイドに決める」を実行し、ポイントに結びつけるには最低以下の3点が技術的に可能であるべきだ。
  1. チャンスが来るまでラリーができる
  2. 低くコントロールされたスライスでのアプローチができる
  3. ボレーを決めることができる


これらのデキによって、このプランを用いるリスクが算定され、複数あるプレイのなかで、一番リスクが少なく、成功する可能性が高いものを選ばないといけない。つまり、コートでやる練習はこれら個別のプレーの精度をあげて、実行したときにリスクを最小化した状態にするための練習なのである。この視点がないと、いくら練習しても勝てるテニスにはならないのではないかと思う。


ざっと戦略 ー 戦術 ー プレイ ー 技術の関係性を見てきたが、つまり勝つためには、その試合に対する戦略構築が重要だということだ。戦略は試合で変わることはない。究極の目的は「勝利」であり、「自らのリスクを最小に、相手に最大のリスクを取らせる」戦略に変化はない。ここを念頭に、戦術以下が相手や自分のレベルにより様々に変化する。あなたが、結構な上級者なら、戦術、プレイ、技術の選択肢は幅広く、試合中であっても臨機応変に戦術を変えて対応できるだろう。逆にそこそこのレベルなら、選択肢は狭い。練習で個々のプレイを磨く重要性はここにある。勝利は1ポイント、1ポイントの積み重ねであり、そのポイントを取るための選択肢が広ければ広いほど、勝利の可能性は高くなる。そのために日々の練習があると思って、練習するのとしないのとでは、試合での結果が変わってくるだろう。たかが1ポイント、されど1ポイントがテニスというスポーツだ。

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