諸葛亮孔明コーチに教わるテニス兵法

諸葛亮(181-234)字は孔明。中国後漢末期から三国時代に掛けて活躍した人物。智略に長け、華麗な罠で敵を欺く。三国志演義(この物語は史実を元にしたフィクションです)では後半の主人公と言ってもいい人物。そんな孔明コーチにテニスを教わってみようと思う。

まず、最初にお断り。諸葛亮孔明の評価に関しては賛否両論あり、実は虚像であるとか、彼の名前が冠の兵法書は後付けであるとか(「諸葛亮行兵法」、「諸葛亮将苑」)色々ツッコミどころ満載な人物である。しかし、そんなことはあまり気にしない。何故なら、諸葛亮ブランドで確立されてきた書物、逸話等は孔明以前の兵法家や思想家(孫武「孫子の兵法」や老子など)の思想が埋め込まれているからである。戦術のマッシュアップとしての諸葛亮孔明ブランド、というスタンスでいく。

さて、それでは本題。

将苑に用兵の巧拙(こうせつ←読めなかったw)というのがある。巧拙とは物事の上手下手ということなので、「兵を用いるときのうまいやり方→ダメなやりかた」ということか。

1.最善の用兵
困難を未然に防ぎ、事態を大事にいたらぬうちに解決する。先を読んで手を打つ。

2.中程度の用兵
敵と対して布陣し、軍馬を走らせ、強弩を射かけ、じりじりと敵陣に肉薄する。

3.最低の用兵
将師がみずから陣頭に立って敵の矢をあび、目先の勝ち負けに血まなこになる。敵味方多数の死傷者を出す。

*徳間書店発行「諸葛孔明の兵法」(守屋 洋著)より引用


「孫子の兵法」の「謀攻篇」の戦わずに勝つという考え方が色濃く出ているが、それはそれで置いておいて、このナレッジをテニスに置き換えてみるとどうなるか。


テニスの巧拙

1.最善のテニス
相手の攻め手を事前に察知し、それを封じる。ミスを誘い「戦わずして勝つ」

2.中程度のテニス
ベースラインでラリーをしながら勝負を仕掛ける。徐々に自分のペースに持っていく。

3.最低のテニス
失敗を顧みず力任せに相手を攻め立て目先のポイントを取りにいく。

まぁ、ちょっと考えれば当たり前の事である。最善のテニスとは相手にテニスをさせない、ということであり、相手がミスをしてくれればポイントを取れるわけである。だからこそ頭を使って罠を張り巡らし、精神的にも味方のペースに持ち込む戦術を取るのが上策であるといえる。相手がミスばっかりして、自分のテニスが出来なければ、だんだんイライラしてきて、悪循環の無限ループに陥る、それが目標。

また、最善→最低の流れでみると、リスクの大きさが増えていっていることにも注目したい。最善では相手の攻撃を封じているのでリスクが低い。強いていえば、自分のミスに気をつけることぐらい。中程度ではラリーを展開しつつチャンスをまつという戦法なので、相手の攻撃を受ける可能性も高い。テニス自体のスキルに左右され、リスクがあがる。最低では、もうディフェンス度外視の力攻めなので、一か八かの賭けに近い。リスクありすぎな作戦である。つまり、常にリスクマネージメントをしないといけないということがわかる。

実際の試合では上記の局面がすべて訪れる。自分の調子だったり、相手によって情勢が変化するのが試合というものである。だとすれば、割合の問題になる。「最善のテニス」を沢山用いて、中程度、最低のテニスは必要に迫られた時仕方なく用いる、ぐらいの気持ちの方がいい、という考え方に至った。

孔明コーチが間違っていないという前提だと、スクールでのレッスンにおいてフォーカスする箇所が自ずと見えてくる。いかに相手の動きを読み、ミスしやすいところに返球するか。その技術を磨くようにしたい。個人的にはストロークのフォームが美しいと言われるよりも、ストロークの落としどころが素晴らしいと言われたほうが私は嬉しいと思うが、皆さんはどうでしょう?

続き:
最善のテニス戦略から戦術を考えてみる1

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